回収チームが何千件もの電話をかけても、肝心な問いが残ることがあります。実際に支払いに至る顧客は増えているのでしょうか。
音声AIは、銀行がより多くの顧客に連絡する助けになります。ただし、電話がつながることは出発点にすぎません。支払いについて話し合った後も、顧客が約束を果たすまでに支援を必要とする場合があります。キャンペーンの報告上は成功に見えた通話が、その後、担当者の作業を増やすこともあります。
だからこそ、AIを活用した債権回収では、より広い視点で成果を見る必要があります。通話中に起きたことだけでなく、その後の入金、顧客体験、担当者に残る業務までつなげて捉えることが重要です。
銀行のAI債権回収では何を測るべきか
連絡対象となる口座から確認済みの成果まで、一連の流れを見てみましょう。それぞれの段階で分かることは異なります。
| 段階 | 測定する項目 | 分かること |
|---|---|---|
| 接触 | 連絡できた対象口座、接続率 | 対象とした顧客に連絡できているか |
| 会話 | 本人確認、会話の完了、理由の記録 | 今後の対応に役立つ情報を得られているか |
| 約束 | 支払い約束、合意した金額と日付 | 顧客と次の行動について合意できているか |
| 入金・回収 | 履行された約束、入金額、回収率または延滞解消率 | 約束が確認済みの成果につながっているか |
| 顧客対応 | 苦情、異議申し立て、連絡停止の申し出、再連絡 | 顧客に適切な支援が届いているか |
| チームの業務負荷 | 引き継ぎ、エスカレーションの理由、手戻り、解決までの時間 | どこで担当者の対応が必要になり、どの程度の業務が残るか |
これらを合わせて見ることで、対象の顧客への接触から入金までのどこで進捗が止まっているかが分かります。

架電件数だけでなく、顧客への接触を見る
架電件数は、どれだけ連絡を試みたかを示します。しかし、何人の異なる顧客に連絡できたかまでは分かりません。同じ口座に複数回電話をかけた場合、それぞれを別の成功として数えると、対象全体への接触状況を見誤るおそれがあります。
架電件数に加え、連絡できた対象口座を確認し、単に電話がつながった場合と、連絡したかった本人と会話できた場合を区別しましょう。接続率が低ければ、連絡先情報、時間帯、選んだ連絡手段に原因があるかもしれません。架電件数を増やすだけでは、それぞれに適切に対処できません。
会話の内容も重要です。本人と口座について話せたか、支払いについて何を話したか、支援が必要だったかを把握すると、その口座の対応が進んだ理由、あるいは進まなかった理由を理解しやすくなります。
支払い約束から実際の回収までを追う
支払いの約束は進展を示す有用な情報ですが、入金と同じではありません。より多くの顧客に連絡でき、支払い約束も増えたものの、実際に履行される約束は一部にとどまるキャンペーンを考えてみてください。この場合、電話を増やすだけでは問題を解決できないかもしれません。
会話から合意した支払日までの間に何が起きているかを確認しましょう。顧客はリマインダーや別の支払い方法、担当者の支援を必要としているかもしれません。約束と確認済みの入金を合わせて見ることで、どのフォローアップを見直すべきかが見えてきます。
結果を口座ごとに照合し、銀行の記録で入金を確認します。約束が履行されたかを判断する前に十分な期間を設け、部分払いなどの扱いも一貫させましょう。支払いには他の連絡やチャネルも影響している可能性があるため、1回のAI通話だけの成果と自動的にみなすべきではありません。
顧客と担当者が支援を必要とする場面を見る
音声AIは、承認済みの返済リマインダーなど定型的な会話を行い、顧客が今後どうする予定かを記録できます。これにより、回収担当者は判断が必要な状況により多くの時間を充てられます。
人の対応が必要な会話もあります。支払いが困難な顧客、異議を申し立てる顧客、複雑な返済条件を相談する顧客には、担当者につながる明確な経路が必要です。苦情や未解決の本人確認も同様です。通話を引き継ぐ際に関連する経緯や記録済みの約束を担当者に伝えれば、顧客は最初から説明し直さずに会話を続けやすくなります。
引き継ぎ件数だけでなく、理由も重要です。専門的な支援が必要な顧客に担当者をつなぐことは、適切な結果といえます。一方、再連絡や手戻りの多さは、情報不足や次の対応の不明確さを示しているかもしれません。苦情や異議申し立ても合わせて見ることで、キャンペーンの速さだけでなく顧客体験を評価できます。
シンガポールのデジタル銀行はどう回収業務を拡大したか
シンガポールの大手デジタル銀行では、事業の成長に伴い、回収チームが手作業で対応できる量を超える外呼が必要になりました。多言語での会話にも対応しながら、より多くの顧客に連絡する必要がありました。
同行は、Dyna.Ai Voice Agentを債権回収と顧客とのコミュニケーションに活用し、電話システムと連携しました。この導入では1時間あたり1,000件を超える外呼に対応し、回収業務の効率が3倍になりました。英語、シングリッシュ、中国語を切り替える会話にも対応しています。
この結果は、当該導入における外呼能力を示しています。一方、これらの数字だけでは、何件の通話が確認済みの入金につながったかは分かりません。自行で導入を評価する際は、接触に関する指標を支払い結果や顧客体験と合わせて見ることで、より全体像を捉えられます。
対象を拡大する前に成果を測る
パイロットでは、対象口座を定めたうえで成果を確かめ、導入範囲を広げるか判断できます。評価したい用途に合う口座群を選び、接触から入金、その後の引き継ぎまで同じ口座を追いましょう。
可能であれば、既存の方法で対応する類似の口座群と比較します。比較可能な過去の期間も参考になりますが、顧客構成、方針、他の連絡チャネルが変わっていると、AIの効果だけを切り分けることは難しくなります。いずれの場合も、結論を出す前に顧客が合意した支払いを行うための十分な期間を設けましょう。
AIの利用料や電話料金に加え、システム連携、監督、転送後の対応や再作業の費用も考慮します。回収結果や顧客体験と合わせて評価することで、業務全体として価値が生まれているかを把握しやすくなります。
返済のフォローアップを滞らせないために
Dyna.AiのCollection Agentは、対象口座への連絡、支払い約束や例外の記録、複雑なケースの担当者への引き継ぎを支援します。デモを予約して、一連の流れをご確認ください。
